【上手な相談の受け方】超マイナーな研修に参加したら、実用生活でめっちゃ大切なことを学んだ件 〜市民活動における課題の相談対応〜 @佐賀県中間支援組織情報交換会

 

 

大学を休学して3ヶ月に差し掛かる今日この頃。

仕事内容は事務的に作業をするというよりも、地域課題の解決を目指す相談者の想いを具体化するお手伝いをしています。

 

そんな仕事の中で特に大切になってくるものは『相談対応のスキル』。

相談が来た時の上手な対応の仕方を勉強していれば、相談者の想いを汲み取ることで実現まで大きく進歩します。

 

今回は、そんな相談対応を向上させるトレーニングを受けるために、佐賀県中間支援組織情報交換会にオンラインで参加しました。

そして、そこで得られた経験は決してマイナーな技術などではなく、日常生活でも大きく役に立つと思いましたのでご紹介します。

 


中間支援組織とは??

 

聴き慣れない言葉である「中間支援組織」。

簡単に説明すると「行政と地域や市民の間に立つことで、様々な活動を支援する組織のこと」です。多くの場合はNPOへの支援を目的として発足しているケースが多いと言われています。

もっと詳しく紹介すると、地域社会とNPOの変化やニーズを把握することで、人材や資源、情報を持っている人とNPOを繋げたり、広い視野で考えると、サービスの需要と供給をコーディネートする組織と言うこともできます。

 

地域の課題を持っている人が相談に来て、その課題を解決する方法や組織、人に繋げる。それが現在の僕の仕事の1つであり、中間支援組織の大切な役割です。

 

 


京都の最先端事例!南丹市まちづくりデザインセンターの取り組み

京都府南丹市で、南丹市まちづくりデザインセンターを運営しているNPO法人テダス 代表理事の高橋 博樹(たかはし ひろき)さんが講師となり、中間支援の理想的なあり方や方法についてお話いただきました。

 

南丹市まちづくりデザインセンターは、自治組織やNPOが活動の中で困ったことや新しい事業を始めたいときに相談することができるセンターで、年間600件の相談が来るそうです。

 

相談を受けることで新しく始まった取り組みは50以上。中間支援組織の世界をリードする存在です。

 

 


中間支援の仕事は何か?

photo by:秋山翔太郎

 

相談対応を行うにあたって、このように相談を受けるスタッフのレベルごとに分けることができます。

初級:相手に寄り添うスキル
話を聞く、一緒に考える。誰かに問い合わせる。この3つの行動は、専門の知識がなくてもできること。まずは相談者の話を聞いて共感する。それだけでも相談者はとても安心する。 

中級:行政言葉を理解しやすい言葉で通訳する
社会の仕組みや専門用語を噛み下いて相談者にお伝えすること。 

上級:組織を育てる
団体の長期的なレベルアップに必要なアドバイスをしたり、組織の成長を促すためのツールを開発するなど。団体の背中を押す存在になることが大切。

 

この話をまとめた時に「この法則は人を育てる時と同じ法則」ということに気がつきました。

 

何かやりたい人ややる気のある人を育てるためには、まずは本人のビジョンをしっかり聞くこと、次に成功に向けての道標を見せること、難しい言葉があればわかりやすい言葉で通訳する。そして本人のレベルが上がってきたら、さらに本人レベルアップできるような流れを作り、背中を押す。

法人という言葉は、1人の人間のようだと思いました。誕生するには、誕生させようと決めた親(創設者)がいますし、周りと関係をよくする事で困ったときにお互いに助けてくれる感覚。だから人という漢字が入っているかなと思いました。

 

 

また、講師の高橋さんのお話の中では『中間支援スタッフ(相談を受ける人)はホテルマンではない。行政職員でもない。先生でもない。審査員でもない』とおっしゃっていました。

ホテルマンのように、丁寧すぎる対応はしません。偉そうにする必要はないけども、下手に回ることもありません。常に対等の立場でやることが大切です。

 

親身に相談に乗りすぎることで相談者から依存されることがありますが、それは中間支援組織のゴールではありません。きちんと自立・自走できる組織にすることを第一に据えることが大切です。

依存されているかされていないかの境目は「相談事の決定権を相談者に委ねて来るか」ということが挙げられており、なるほど会の決め事には中間支援組織は関わるべきではないということがわかりました。

 

そして個人的に付け加えるならば、組織(人)を応援する中間支援組織は、見返りを求めないことも大切だと思いました。目先の利益を求めずに長期的に努力することが、人を育てることも、組織を育てることにも共通する考えだと思います。

 

 


南丹市の取り組みの中で、印象に残ったもの

 

1. チラ1GP(チラワングランプリ)

写真提供:NPO法人テダス(http://tedasu.com

 

これは講師の高橋さんが使い終わったチラシを片付けている時に浮かんだアイディアです。終了したイベントのチラシを壁一面に貼り、投票できるようにチラシに番号と、1票を意味するシールを用意します。このチラシがいいなと思ったら、シールを貼ることで投票し、チラシのデザインや構成力で競争します。さらに、投票するシールを受け取るには必ず募金をしなければいけません。投票するにあたって集まったお金は、シールが最も多かったチラシを作った団体にそのまま運営資金として寄付するそうです。

必要なものは、捨てるだけのチラシと大きな壁と貯金箱とシールのみ。低予算で実現可能なこの企画、長崎でもやってみたいです…!

【参考】チラ1G Phttp://tedasu.com/chira1gp_rekidai

 

2.くちだすメール便

資料提供:NPO法人テダス(http://tedasu.com

 

NPOに限らず、法人格を持つ組織はたくさんの「やらなければならないこと」があります。決算や総会などがそれに当たりますが、おおよそ始める時期はどの法人も一緒。そこで、時期ごとに〇〇の準備を始めた方がいいですよという口出し(アナウンス)を行う仕組みができました。これにより、申告忘れも改善され、初めてNPOを運営する方でも安心して事業を継続できそうです。

 

 

3.顔出すレポート

相談に乗っている団体がイベントを開催した際は、スタッフが顔を出してイベントの様子を撮影したり、レポートとしてブログを書いたりしています。書いたブログはCAMPANブログに掲載しており、多くの人に閲覧されています。

 

【参考】CAMPANブログhttps://blog.canpan.info/tedasu/
広告表示がないブログツールを無料で提供しています。市民活動にたずさわる方々が日々の活動について積極的に発信することを応援しています。

 

 

3.かしだす(土曜日だけの駄菓子屋)

資料提供:NPO法人テダス(http://tedasu.com

もともとNPOの名称である「テダス」は、手助けをもじった名前だそうです。そこから派生して先述のくちだす(口出す)・顔出すという事業が生まれ、“かしだす”も生まれました。

“かしだす”と聞くと、物を借りることができる事業と勝手に思っていましたが、実際は駄菓子を販売しているそうです。漢字に直すと「菓子出す」となり、地域の子どもたちが気軽に訪れていい場所としてアピールしています。中間支援組織がまさかの駄菓子屋…。駄菓子屋付きの僕からしたらたまらないですね!

 

 

4.ひとものカタログ

 

資料提供:NPO法人テダス(http://tedasu.com

 

 

『南丹市内の団体や個人から、社会に提供できる資産《ヒト》《モノ》《場所》の情報を集めました』

ひとものカタログの表紙が、内容を全て物語っています。地域に提供できるスキルや人材・場所をカタログにまとめられたものです。現在、96人の登録者と140種類の物品、14の場所が掲載されています。以下の【参考】からひとものカタログのダウンロードができます。

実は、僕の職場でも「地域と一緒にこんなことやれます!!リスト」という冊子を毎年作成していましたが、これは《人》や《組織》ができることだけであり、《モノ》や《場所》という視点まで組み込めていませんでした。僕もまだまだ成長できるところがたくさんあるなと思う今日この頃です。

【参考】キャピタルをソーシャルに。ひとものクロスhttp://tedasu.com/cross.html

 

 


NPOの新しい稼ぎ方。魅力的な商品開発について。

 

写真提供:NPO法人テダス(http://tedasu.com

 

南丹市まちづくりデザインセンターを運営しているNPO法人テダスは、NPOの運営ノウハウをわかりやすく伝える工夫が見られました。その中で紹介された「NPOの運営を体験できる NPOゲーム」がとても面白そうで、

 

以下は、NPOゲームのホームページに書かれある紹介文です。


— NPOゲームとは?

NPOゲームは、「なにかやりたい!地域のために!地球のために!」と思ったひとが、仲間を集め、信頼を集め、団体を立ち上げ、共感を呼びながら事業を展開し、NPO法人格を取得して、人を雇用する、勇気と冒険のストーリーを擬似体験できるボードゲームです。

「NPOって税金払わなくていいんでしょ?」
「NPOのスタッフってボランティアなんでしょ?」

まだそんな理解をしていませんか??

いまさら聞けないいろいろなこと、ゲームを通してNPOの理解を深めてください。

10年以上NPOを運営してきたノウハウを生かして作られた“人生ゲームのNPO版”であり、シンプルなすごろくボードゲームなのでルールが難しいことはありません。

 

 

ちなみに、来たる7月3日は、高橋さんが佐賀でNPOゲームをレクチャーするイベントが開催されるそうです!(https://www.tsunasaga.jp/plaza/news/plaza-news/021672.html

 

しっかり丁寧に作られているゲームということもあり、値段が4,400円と記載されていましたが、これまでNPOを運営してきたという「ノウハウをまとめることで新しい価値にする」という考えが僕にとって新鮮で、とても刺激になりました。

 

NPOゲームの詳細や申し込み方法などは、以下URLから見ることができます。

【参考】NPOの運営を体験する『NPOゲーム』http://tedasu.com/npogame.html

 

 


中間支援組織が存在する意味について

 

なぜ中間支援組織が存在する必要があるのか。それを講師の高橋さんは以下の5つでまとめていました。

 

1. 情報が集まるセンター:アンテナが張られている

2.組織運営や市民活動に関するノウハウやスキルが蓄積されている:シンクタンク
(think tank / 幅広い分野にわたる課題や事象を対象とした調査・研究を行い、結果を発表したり解決策を提示したりする研究機関)

3.団体同士・団体と行政を繋ぐ役割をする:コーディネーター

4.行政の立場では言いにくい話ができる / 行政言葉をわかりやすく伝える:通訳

5.団体だけでなく、行政も相談できる環境:知恵袋

 

長崎の中間支援組織に所属する人間として、しっかり心に刻むことにしました。

 

 


終わりに

 

photo by:秋山翔太郎

 

今回のイベントはオンラインで参加しましたが、中間支援組織の存在意義から育て方までとても勉強になるだけでなく、他の地区の中間支援組織の方とお話しすることもできたことも良い経験になりました。

さらにどの地区の中間支援組織も共通していることが一つ。そこで働いている「困った人を助けるプロ」は皆さんいつも自然な笑顔を浮かべていました。相談者を安心させる一番の武器はやっぱり笑顔だなと感じ、僕もリラックスしてイベントに参加することができました。

 

今回学んだことを胸に刻み込んで、長崎の中間支援組織を盛り上げられる人になりたいと思います!

 

 

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

 

 

>ながさきログ

ながさきログ

ながさきログは、長崎在住の若者が長崎の魅力を勝手に紹介するWebメディアです。