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長崎の面白い若者を勝手に紹介するコーナー『長崎若人』。前回紹介の小林君に続いての第2弾は、彼が通った後にはペンペン草も生えない(?)ドローンを用いて天翔ける大学2年生の松浦栄人さんです。今回も、長崎が誇る若者の生活や思いについてフォーカスしていきます。
1. 人物紹介
松浦 栄人 / Matsuura Eito
2001年、静岡県島田市出身。静岡県立藤枝東高校を卒業後、長崎大学水産学部・海洋生物科学コース在学中。『勉強こそ、コスパ最高の遊びである』という言葉を残している河野玄斗さんに憧れ、水産学以外にも長崎大学生初のドローンライセンス取得、高校時代のロボットコンテストでは静岡県代表を務めるなど、工学分野にも精通している。物事を多面的に見ることを大切にしており、独自の視点で見つめる世界観から繰り出される結果には定評あり。
2. 松浦栄人の過去に迫る!『小学生時代〜大学入学まで』


でもそこは本当に神様のような人ばかりでした。中学時代のクラスメイトは、みんなとても意志が強く、野心家揃いでした。みんな将来のことがはっきり見えていて、同じ中学生としては異様に感じていました。
まず、中学の授業が特殊だったんです。普通ならば、公式を習った後に問題を解くという流れがあるはずですが、いきなり解き方もわからない問題を出されて、どのように解けばいいのかをみんなで考えて班の意見として発表し、その後に先生が公式を交えてうまく教える、というスタイルでした。これにより、考えることが受動的に考えるのではなく能動的に考えるようになり、多角的・多面的に考える力が自然と身についていきました。

僕の大学の主専攻は水産ですが、副専攻のような形で工学も勉強しています。僕は水産学を学ぶ学部にいますが、それだけでは足りないと思っています。水産の知識を社会で
生かすには、何かしらの別分野と結び付けなければならないからです。
例えば、魚を売るには水産だけでなく経済の知識も必要ですし、船を作ったりするには水産の知識と工学分野の知識がいると思います。そして、今後の日本で起こってくる問題は複合的なものが多く、1つの分野に精通しているだけでは力不足ではないかと思っています。知識は蓄えれば蓄えるほど課題解決の糸口につながると思いますので、今後も興味のある分野が出てくれば迷わずに勉強したいと思っています。

実は、これまでの資産で勉強しなくても学内の真ん中くらいには入れる成績はキープできていました。それに、中学時代では下から数えた方が早い成績だったこともあって、その時よりマシだって自分を騙していました。勉強に甘えていたんです。

不合格とわかってから、1週間くらいヘコみました。でも、後期に長崎大学を受験するようにしていたので一応適当でも受けに行くことにしたんです。そこで運命の出会いがありました。行きの飛行機で、北大の受験会場にいた学生がいました。話を聞いたところ、彼も北大に落ちたとのこと。そして彼は「長崎大学でトップを目指すから、一緒に長崎大学に来ないか」と僕に声かけてくれたんです。
こんなに情熱をもった人がいるんだ!と驚いたと同時に、長崎で頑張ってみようという想いが湧いてきて、浪人をやめて長崎大学に入学することにしました。
–長崎大学に進学することは本意ではなかったそうですが、後悔はありますか。

また、高校生の時には気づかなかったことですが、どんな大学でも何かやろうとしたらそれができる環境が整っていることも知りました。高校生の頃の大学選びは偏差値くらいしか違いがわからなかったですが、気がつけば北大でやりたかったことも長崎大学で楽しくできています。
たとえ希望の大学に縁がなかったとしても、大学ではやりたいことができます。これは大学受験を志す学生さんに伝えたいですね。
細かいメモから、勉強好きと確実に仕事をやり遂げる姿が見える
3. 現在の取り組みについて『大学入学後、やっていること』
「現在所属している主な活動団体の一覧」
・長崎大学 海洋未来イノベーション機構 技能補佐員
・長崎ドローン空援隊 隊長
・長崎大学 魚料理研究会 会長
・島嶼SDGsボランティアグループ
長崎は、東シナ海・南に太平洋を望むリアス式海岸および東に日本一の干潟として特異な生物相を有する有明海に面した特徴的な地理的環境の中に位置している。このような背景から、長崎大学水産学部は昭和24年長崎青年師範学校水産学科を母体として設置された。今日まで、水圏の生物資源を対象に自然科学および技術開発に関する教育・研究を通じて社会に貢献している。
松浦さんは水産学部にある4つのコースの中の、海洋生物科学コース(Bコース)に所属しており、海洋生物の行動・生態・生物構造などを専攻で学んでいる。
詳細:http://www.fish.nagasaki-u.ac.jp/index-j.htm
長崎大学の学長直轄の組織。海洋の未来を見据えた最先端の研究チームで、所属教員は水産学部・工学部・環境科学部などと兼任している。海洋エネルギーの利用研究や海洋ロボット開発に尽力しており、松浦さんはロボット関係の中で無人飛行機のドローンの運用を技術的に補助している。
詳細:http://www.fish.nagasaki-u.ac.jp/index-j.htm
無人航空機であるドローンを操縦する技術を身につけることで、新しい職業に対応できる人材を育てる。危険な環境での点検作業の効率化や映像作品をはじめとするクリエイター業など、ドローンの活用範囲は多岐にわたる。ドローンの運営会社や長崎大学工学部がコンバートされて構成されている。
詳細:近日中にホームページ公開
「旬の魚」を料理して、みんなで美味しく食べるサークル。若者の魚離れが懸念される中、若者を主体に美味しい魚料理を発信してくことで、魚に興味を持ってもらえることを目標に活動。毎月、公民館で魚料理を作り、SNSにアップロードして積極的に広報活動も行っている。
詳細:https://fcrg2018.wixsite.com/nufcrg
長崎県は全国1位の離島数を誇り、それらの有効活用方法が重要視されている。そんな中、西海市の江島の島起こしに積極的に取り組んでいる学生ボランティアチームに所属している。


魚料理研究会をまとめあげる。今ではアジ・サバは当然、食べられる魚の名称は頭に入っているとのこと。
4. 勉強こそ、コスパ最高の遊びである_by河野玄斗さん『大切にしている考え方』
–冒頭でもお聞きしましたが、大切にしている考え方について詳しくお話を聞かせてください。

その時から、1つの物事に関して複合的な視点で見ることにこだわるようになっています。1つの分野だけ勉強していると、どんどん視野が狭くなっていくことで僕の根底にある「社会にどのように貢献していくか」ということから遠ざかってしまいます。だからこそ副専攻を自分なりに勉強し続けることで、複合的に考えることができますし、この考え方はこれから生きていくためには役立つスキルだと思っています。
だから、勉強することがダイレクトに社会に貢献できると考えていますし、僕にとって遊びと勉強の境界線はないんです。今やっていることが自分のこれからの力になりますので勉強こそ、コスパ最高の遊びであるという言葉は、その通りだと思います。
オンライン配信イベントは初経験でありながら、得意の勉強と多角的に見るスキルを活かして先導する

でも、トップを目指すと決めたから負けていられないと思うようになりました。本当にゼロスタートでした。
初めの半年間は、授業を受けた後に図書館に籠って魚のことや水産の基礎について勉強し尽くしました。魚の魚種はいっぺんに覚えられるほど賢くないので、1日2魚種ずつ覚えていきました。それでもどうしてもわからないものが出てきた時には、周りの同級生が助けてくれるんです。学ぶことを通じて、周囲との関係が深まっていったこともとてもうれしかったですし、勉強することのメリットなんだなと思いました。
とりあえずやってみよう。そんな軽い気持ちでいいと思います。それが「当たり前のこと」、そして「いつか好きなこと」に変わっていったら最高ですね。
5. パンチ弱すぎ。もっと誇れよ、長崎県民!『若人がぶちゃける長崎について』
–静岡県から長崎にきてまもなく1年が経とうとしていますが、本心では長崎のことをどう思っていますか。

僕は静岡県出身ですが、静岡のこと大好きです。しかし、長崎出身の大学の友達に長崎のことを聞くと、なぜかマイナスな反応をされることが多いのです。長崎は、2年連続で若者の流出がNo.1になったりしていることから、自分で勝手に自分の県のことを過小評価しているのではないかと思っています。
長崎県民は、もっと長崎のことを好きになるべきです。愛と情熱が足りない。
長崎はもっと誇っていいんです。世界では、大阪は知らないけど長崎は知っていると言う人もいるんです。それは負の歴史かもしれませんが、世界中から大切にされている都市であるのに関わらず、そこに住んでいる人はマイナスな印象しか持っていないのはもったいないことだと思いませんか。
長崎大学には長崎地域学という必修の科目が1年生の時にありましたが、僕はその授業がきっかけで長崎のことが大好きになりました。担当の先生の長崎愛が熱いんです。少なくとも、外から来た僕のような人間も長崎が好きになるくらいいいところがありますので、自信を持って長崎をアピールしてほしいと思いますし、ご縁があって来た長崎ですから、僕もアピールし続けます。

例えば、毎年2月23日は学校が休みなんです。なぜだと思いますか。
・・・富士山(2.23)の日だからです。そんな富士山も、実は山梨県と取り合っていますし(笑)ヤマがナシだからそんな県名にしてるんだろ!と。あ、もし山梨県民の方がいましたら本当にすみません。


あとは、こんな自動販売機があります。静岡はお茶が有名ですが、TABACCOではなくCHABACCOです。お茶っ葉の自動販売機ですが、これが面白い。タバコならば健康に害する〜と書いてあるところに健康になりますと真逆のことが書いてあったり、そもそも筐体には「世の中を、茶化そう」って。いじり、いじられをうまく捉えた最高のキャッチコピーだと思います。


長崎は本当にいいところだと思います。路面電車が張り巡らされているお陰で、長崎市内の交通の弁は非常にいいです。No.1の若者流出量がある代わりに、No.1の夜景を持っている。文化や歴史的にも貴重な資料が残り、近代への変革までしっかり追体験できる環境は本当に珍しいと思います。
しかし、長崎全体では失敗を恐れて縮こまっているように感じます。人とのつながりが強い長崎なので失敗したくない気持ちは十分に理解できますが、行動しなければ何も変わらないでしょうし、このままの長崎ではまずいと思います。
叩かれてもいいから、何かやってみたらいいじゃないですか。何かやって叩かれるのは悪いことじゃなくて成長の機会ですし、一番かっこ悪いのは普段は何もしないくせに周りが何かすると叩く人たちだと思います。
めっちゃ急な坂で、何か転がしてみるとか。中途半端過ぎる提案ですみません(笑)

6. 将来の目標や進路は?『長崎の若人、未来を語る』
–将来の目標や希望する進路について、お話を聞かせてください。
そして、僕がこれまでやってきたことやこれからやっていくことが、誰かの役に立ったり未来につながっていればいいなと思います。いずれにせよ、思考を固めることなく、常に多面的に物事を捉えて勉強し続けたいです。
勉強は遊び。遊びは勉強ですから。
7. 最後に
勉強は遊び。遊びは勉強ですから。最後のこのフレーズが耳に残り続けました。
常に多面的にみて誰も思い付かないようなイノベーションを巻き起こす松浦さん。勉強好きであることを活かして、これからも凝り固まりつつある常識を壊し続ける姿がそこにありました。大学生活も折り返しを迎える松浦さんの今後の活躍に目が離せません。