【研究成果】水産生物の餌となる植物プランクトン、津軽海峡尻屋崎沖の海底地形の恩恵で安定生産

 

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海底地形周辺でピンポイントに起こる栄養の湧き出しが広域の生物生産を支える(JAMSTECプレスリリース・2025年4月22日)

海洋研究開発機構(JAMSTEC)と長崎大学などの研究グループによる、津軽海峡尻屋崎沖の海底地形がもたらす栄養の湧き出しと生物生産の関係に関する研究成果です。

 

【研究の概要とポイント】
津軽海峡東部の尻屋崎沖において、狭い領域(10km四方程度)で強い流れが地形にぶつかることにより、深層から栄養塩が巻き上げられ、混合されていることがわかった。これにより、夏~秋にかけて太平洋側に形成される「津軽ジャイアー(Tsugaru Gyre)」内での植物プランクトンの安定的な生産が支えられている。

「砂漠の井戸」的領域
栄養が乏しい水域の中にあって、継続的に栄養を供給する“枯れない泉”のような役割を果たす場所として注目されている。

研究手法
海洋短波レーダ(HFR)による長期モニタリングと、衛星観測・船舶調査・データ同化モデル(JCOPE-T DA)を組み合わせて解析。

 

【研究の科学的意義】
・局所的な地形の影響が、広域な生物生産を支える事例を初めて定量的に示した。
・津軽暖流が栄養塩に乏しい亜熱帯水を運ぶ中で、局地的な地形によって栄養が補われている。
・このメカニズムの理解は、三陸沖などの豊かな漁場の形成メカニズムの解明や、今後の持続的漁業資源管理に有用。

 

論文情報
タイトル:Topographically driven vigorous vertical mixing supports mesoscale biological production in the Tsugaru Gyre
掲載予定:Nature Communications2025422日付)

 

津軽海峡東部、尻屋崎沖の海底地形を津軽暖流が乗り越える際に生じる強い乱流鉛直混合が、より深い層から栄養塩を光の当たる表層…

 


 

解説資料はこちらから

https://www.nagasaki-u.ac.jp/ja/guidance/kouhou/press/pdf/783file1_20250423151902.pdf