ヤマハ発動機株式会社が本気で目指す船の脱炭素化。実用化のハードルが高い背景は?

 

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ヤマハが本気で目指す、船の脱炭素「自動車のEV化よりハードルが高く、はるかに難しい」(OCEANS・2025年5月17日)

ヤマハ発動機株式会社は、「今日よりもっと素晴らしい海を、未来へ贈る」というビジョンのもと、マリン事業において海のカーボンニュートラル実現に向けて取り組んでいます。水素エンジン船外機やEV化など、複数のアプローチで環境負荷の低減を目指していますが、最も重視しているのは、海に出た人が無事に帰ってくるという安全性です。

自動車分野に比べて、海の脱炭素化はインフラ整備や技術的課題が多く、ハードルが高いとされています。たとえば、水素を燃料とする船外機は展示されましたが、液体水素を安全に扱う設備や船の実用化はまだ進んでおらず、普及には時間がかかる見通しです。

ヤマハは、短距離航行には電動、長距離には水素やバイオ燃料を活用するという方針で、操船システム「HARMO」などの開発を進めています。欧州などでは静粛性が評価され、観光船向けに活用が始まっていますが、高価格や性能の課題から本格普及には至っていません。

さらに、途上国では依然として旧式のエンジンが使われており、整備人材やインフラの不足が障壁となっています。このため、海の完全なカーボンニュートラル化は次世代でも難しいと考えられています。

それでもヤマハは、国内外での環境活動やレンタル事業などを通じて、ソフトとハードの両面から持続可能な海づくりに取り組んでいます。総合マリンメーカーとしての使命感を持ち、未来に備えた準備を進めています。

 

「今日よりもっと素晴らしい海を、未来へ贈る」という目標を長期ビジョンのひとつに掲げるヤマハ発動機のマリン事業。世界に先駆…