地域資源の有効活用と環境保全を両立させる「廃漁具の水平リサイクル」@三重県志摩市

 

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真珠養殖のごみを、地域の財産に。伊勢志摩で始まった廃漁具の水平リサイクル(IDEAS FOR GOOD・2024年9月10日)

三重県志摩市の英虞湾では、真珠養殖に使用された漁具(養殖かごやロープなど)が長年にわたり放置され、景観や環境に悪影響を及ぼしていました。これらの漁具は、プラスチックや金属など複数の素材で構成されており、分解やリサイクルが困難で、処分にも高額な費用がかかるため、適切な処理が行われていませんでした。

この問題に対処するため、地元の真珠メーカーである覚田真珠株式会社は、日本真珠輸出組合や複数の企業と連携し、使用済み養殖資材を回収・再資源化する「クローズドループ・リサイクル」システムを構築しました。この取り組みでは、使用済みの養殖かごを回収し、鉄とポリエチレンに分別。鉄は新たな養殖かごの製造に再利用される「漁具to漁具」の水平リサイクルが実現しました。これは真珠養殖業界で世界初の試みとされています。

回収作業には、地元の宿泊施設「COVA KAKUDA」のスタッフや真珠養殖事業者などが協力し、手作業での積み込み作業を行いました。また、従来のリサイクルスキームに適さない長いロープは、地元の海女さんたちの協力を得て、ボトルホルダーやハンモックなどの製品にアップサイクルするプロジェクトが始まっています。

今回の取り組みは、英虞湾全体の使用済み養殖資材のごく一部に過ぎません。今後は、ポリエチレンの再資源化や、より多くの資材の回収・再利用を目指し、地域全体でのサーキュラーエコノミーの実現に向けた取り組みが期待されると同時に、地域資源の有効活用と環境保全を両立させる新たなモデルケースとして注目されています。

 

IDEAS FOR GOOD

真珠養殖発祥の地である三重県志摩市で、廃漁具を新しい漁具に循環させる「漁具to漁具」の水平リサイクルが実現しました。この…