地域の多様な仕事を安定的に担う人材を確保・育成する「特定地域づくり事業共同組合制度」

 

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特定地域づくり事業共同組合制度

日本の人口減少や高齢化、地域経済の縮小が進む中で、特に中山間地域などにおける「担い手不足」や「働く場の確保」といった課題を解決するために、2020年6月に施行された新しい総務省の制度です。この制度は、地域における多様な仕事を安定的に担う人材を確保・育成することを目的とし、「多業態就業」の形で人材の循環と定着を図るものです。

特定地域づくり事業共同組合制度では、市町村の認可を受けた「特定地域づくり事業共同組合(以下、組合)」が設立され、組合が雇用した人材(組合員労働者)を、地域内の複数の事業者(農業、観光、介護、小売など)に派遣する仕組みとなっています。

つまり、一人の人材が季節や時間に応じて複数の職場で働くことで、年間を通じて安定した雇用と収入を確保でき、同時に地域の多様な業種の人手不足に対応するという、双方にメリットのある仕組みです。

この制度の背景には、「働き口が一つでは食べていけない」「農業一本では生活が成り立たない」といった地域の実情があります。一方で、複数の仕事を組み合わせる「多業型」の働き方が現場では求められており、これを制度として後押しするのがこの仕組みです。

また、地域内における「人材のシェアリング」によって、過疎地域においても持続可能な経済循環を築こうとする試みでもあります。

この制度は、地域社会の実情に即した柔軟な働き方と人材活用を制度的に保障するものであり、将来的には「小さな経済圏」「小さな自治」を支える基盤となる可能性も秘めています。

 

 


 

 

特定地域づくり事業共同組合制度について解説したPDFはこちら
https://www.soumu.go.jp/main_content/000877313.pdf