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年間3~4割が廃棄される「フラワーロス」の対策。環境にやさしい仕組みの提案

 

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「フラワーロス」から考える、花と人にやさしいサステナブルな仕組み(サストモ・2025年5月23日)

私たちが日々目にする花には、美しさの裏に隠れた大きな課題があります。それが「フラワーロス」と呼ばれる問題です。日本では市場に出回る花のうち、約30〜40%が消費者に届く前に廃棄されており、その経済的損失は年間で約1500億円にも上るといわれています。さらに、この廃棄により水や電力、ガソリンなどの貴重な資源が無駄になり、環境負荷を高める要因ともなっています。

このようなフラワーロスの背景には、いくつかの構造的な課題が存在します。たとえば、茎の長さや花びらの数など、見た目の美しさに基づく厳しい規格に合わない花は、消費者の目に触れる前に廃棄されてしまいます。また、生産者が需要に先んじて大量に作る「プロダクトアウト型」の生産体制も、過剰な供給を招き、結果として多くの花が余ってしまいます。

さらに、日本の花流通は卸売市場を経由するのが一般的であり、その過程で時間がかかり、花の鮮度が落ちて廃棄につながることもあります。結婚式や展示会などのイベントで大量に使用された花が、再利用されることなく一括で捨てられることも、ロスの一因です。そして消費者側の「美しい花を選ぶ」という価値観も、少しでも形が崩れた花を排除する要因となっています。

こうした状況を改善するため、国内外ではさまざまな取り組みが始まっています。たとえば、インドの「HelpUsGreen」では、寺院で廃棄される花をお香にアップサイクルする活動を行っています。アメリカの「Repeat Roses」は、イベントで使われた花を再アレンジし、病院やシェルターに届けています。これらの活動は、フラワーロスの削減だけでなく、人々の心を癒やす社会貢献にもつながっています。

また、生産者と販売者の距離を縮め、需要に応じた柔軟な生産・流通体制を構築することで、余剰在庫や無駄な廃棄を減らす取り組みも進んでいます。加えて、オランダの「Green Florist」、フランスの「Plante Bleue」、コロンビアの「Florverde® Sustainable Flowers(FSF)」など、持続可能な花の生産を認証する制度が整備され、消費者がサステナブルな選択をしやすい環境も整いつつあります。

フラワーロスの問題は、花き業界の仕組みだけでなく、私たち一人ひとりの価値観にも関わる課題です。今後も花を美しく楽しみ続けるためには、生産から消費に至るまでの一連のプロセスを見直し、環境にも人にも優しい仕組みを築いていくことが求められます。

 

サストモは、未来に関心を持つすべての人へ、サステナビリティに関するニュースやアイデアを届けるプロジェクトです。メディア、…