「家賃=時間」学生が高齢者の“暮らしの友”になる無償多世代シェアハウス@オランダ

 

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家賃は「一緒に過ごす時間」。学生が高齢者の“暮らしの友”になるオランダの多世代シェアハウス(IDEAS FOR GOOD・2025年6月12日)

オランダ東部デーフェンターにある高齢者施設「Woon-en Zorgcentrum Humanitas(ウーン・エン・ゾルフセントルム・フマニタス)」では、学生と高齢者が一つ屋根の下で暮らし、互いの時間を交換しながら支え合う、ユニークなシェアハウス型の取り組みが行われています。

このプログラムでは、大学生が「暮らしの友」として、月に30時間以上、高齢者と一緒に時間を過ごすことを条件に、施設内の住居に無償で住むことができます。活動内容は、会話や一緒に食事をすること、イベントへの参加など多岐にわたりますが、すべて学生の自由意志に基づいて行われます。

このような時間の共有は、高齢者にとって大きな意味を持ちます。学生がそばに座って話をするだけでも、高齢者には「意味のある時間」が生まれるとされており、世代を超えた交流が心の潤いをもたらしています。イギリスの研究によれば、こうした世代間交流は、高齢者のストレスを軽減し、うつ症状の改善や自尊心の向上にもつながるという結果が出ています。

一方、学生にとってもこの経験は、家賃負担の軽減という現実的なメリットだけでなく、人生を深く見つめ直す機会にもなっています。高齢者との関わりを通して、忙しない日々の中で「少しスローダウンすること」の大切さを学ぶ学生も多いそうです。

この取り組みは2013年から始まり、2025年6月時点でも継続して運営されています。また、同様の仕組みは他の病院や大学にも広がりを見せており、2023年にはユトレヒトの修道女コミュニティにおいても、学生を迎え入れるプログラムが導入されました。

施設のウェブサイトでは、「世代はお互いに必要としているということです……バブルを超えて人と人とがつながることの美しさを示しています」と語られており、この取り組みが示すのは、単なる福祉の枠を超えた、人と人との根源的なつながりの重要性です。

この「家賃=時間」という発想に基づいた多世代シェアハウスは、若者の住まいの問題を解決するだけでなく、高齢者の精神的な充足感をも支えています。自由で自然な世代間の交流は、現代社会が忘れかけていた「共に生きることの価値」を再認識させてくれる、温かく本質的な取り組みといえるでしょう。

 

IDEAS FOR GOOD

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