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地域通貨のその先へ。持続可能なローカル経済を強くするためのヒント(IDEAS FOR GOOD・2025年4月15日)
スペイン・バスク地方の市民協同組合「Ekhilur(エキルール)」は、地域経済を強化する革新的なアプローチを実践しています。地域通貨を新たに発行するのではなく、既存のユーロを活用し、地域内でお金がより長く、何度も使われるようにすることを目指しています。このために、スペイン銀行の監督下で運用される独自のキャッシュレス決済システムを導入し、日々の買い物や取引が地域内で完結するような仕組みを整えています。
この取り組みは、ギプスコア県エルナニという人口約2万人の町で、小規模事業者の取引のあり方を変えてきました。開始から2年余りで、取引件数は20万件以上、累計売上は500万ユーロ超に達し、ユーザーは1,400人以上、参加事業者は125にのぼります。
Ekhilurの特徴は、その技術的な仕組みにとどまらず、運営主体が市民による非営利の協同組合である点にあります。営利企業ではなく、地域住民自身が資金を出し合い、「一人一票」の原則に基づいて意思決定を行うことで、地域の経済インフラを自らの手でつくり出しています。出資金は誰もが参加しやすいように10ユーロと低く設定されており、Ekhilurのネットワークがある自治体に住んでいる非組合員も、一部の機能に限られるものの、システムの利用が可能です。
また、商店や自治体によって資金提供されるキャッシュバック制度があり、ユーザーが支払いを行うたびに一定額が還元されます。このキャッシュバックはネットワーク内でのみ使用可能であるため、地域内の商取引が自然と活性化する構造になっています。経済的インセンティブを通じて、人々の購買行動が「地域を応援する行動」として位置づけられています。
Ekhilurは、テクノロジーと協同の力を組み合わせ、「お金の使い方」そのものを再設計する挑戦であり、成長に依存しない経済の可能性を実証しようとしています。この取り組みは、お金の流れ方を見直すことで、地域にポジティブな影響を与えられることを示しています。重要なのは、既存の経済システムのルールを上手に活用しながら、地域経済の再構築と、公平で連帯的な社会の実現を目指すことです。
地域経済を活性化する新しいカギは「お金の循環」。スペインの市民協同組合「Ekhilur」の革新的な決済システムが、地域内…