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道端のタイルを剥がし、緑を植える。街の“呼吸”を取り戻すオランダの市民発プロジェクト(IDEAS FOR GOOD・2025年6月16日)
オランダでは、市民が歩道や庭先に敷かれたコンクリートタイルを自ら剥がし、そのスペースに花や草木を植える活動「Tegelwippen(タイル剥がし)」が広がっています。これは、2020年のロックダウン時にコンクリート化された都市環境への違和感から始まったもので、今や全国規模で展開されており、毎年「どの自治体が最も多くのタイルを剥がしたか」を競うコンテストも開催されています。
2025年5月時点で、約1,293万枚のタイルが取り除かれ、235ヘクタール(サッカーグラウンド約330面分)もの緑地が新たに生まれています 。この活動の特徴は、行政主導ではなく、市民自らが公共空間の一部を“緑化する自由”を享受しながら街を再生している点にあります。オランダでは、家の壁から50cm以内の公共空間について市民の改変が制度的に認められているため、こうした市民参加型の活動が活発になっています。
また、単なる見た目の改善だけでなく、ヒートアイランド現象の緩和や豪雨対策として、舗装をはがして緑地を増やすことは都市の気候適応策としても効果的です。
このムーブメントは隣国ドイツにも波及し、「Platzgrün!(緑の広場)」という名称の元、デュッセルドルフやハンブルクで同様の取り組みが行われています。
日本では道路と敷地の境界が行政の管轄となっているため、勝手に緑化することへの抵抗感がありますが、オランダの事例は「市民が自らの手で未来をつくる」という示唆を与えてくれます。巨大な計画ではなく、一枚のタイルを剥がす行動から変化が始まる・・・そんな草の根的なアプローチにこそ、都市の未来を変える力があるといえます。
オランダでは、住民が自らコンクリートのタイルを剥がし、草花を植える「タイル剥がし」運動が広がっています。都市の過剰な舗装…