SeaGraphが簡潔にお届けする「情報保管庫」です。
他の情報は こちら から!
みんなの図書館
「みんなの図書館」とは、地域の住民一人ひとりが主体となって運営・利用する、開かれた図書館のことです。従来の公立図書館が自治体や教育機関によって管理されるのに対し、みんなの図書館では、市民や地域団体、ボランティアなどが自発的に関わりながら、本の収集や分類、イベントの企画、空間づくりなどを行います。全国各地で少しずつ広がりを見せており、地域の特性やニーズに応じて多様な形で展開されています。
この図書館の最大の特徴は、市民参加型の運営です。本を「選ぶ」「寄付する」「分類する」などの活動を通して、図書館そのものを地域の手で育てていきます。また、単なる読書の場ではなく、世代や立場を超えて人々が集い、語り合うことのできるコミュニティの拠点としても機能しています。カフェを併設したり、ワークショップや読書会を定期的に開いたりするなど、多目的な活用が可能です。
運営のスタイルも非常に自由で柔軟です。たとえば、営業時間やルールは地域住民によって話し合いで決められ、無人でセルフ貸出を行う図書館や、個人の自宅を図書館として開放する「家庭図書館」など、創意工夫にあふれた事例が見られます。さらに、子どもたちの読書支援や高齢者の居場所づくり、障がいを持つ方との交流など、教育や福祉の観点からも重要な役割を果たしています。
具体的な事例として、兵庫県相生市にある「みんなの図書館 さんかく」は、クラウドファンディングによって設立され、本の分類方法に「人生を変えた一冊」や「わたしのバイブル」など、ユニークな視点を取り入れて話題となっています。また、「いえとしょ」と呼ばれる、自宅を開放して地域の図書館とする取り組みもあります。こうした小さな図書館が、子どもや高齢者などにとって身近な居場所となっています。
みんなの図書館は、本を通じて人と人とがつながる場であり、地域社会のつながりや人々の学び、対話を深めるための大切なインフラといえます。また、住民が自ら運営に関わることで、地域に対する愛着や責任感が育まれるという点でも、大きな意義があります。